協働センターインタビュー企画 第1回「NPO法人グレースケア機構」

公開日 2026年01月04日

更新日 2026年01月04日

記念すべき1回目は「NPO法人グレースケア機構」さんへお邪魔しました

介護、看護、リハビリなどをはじめ、支援が必要な方の娯楽や旅行のお手伝いなど、多種多様なサービスを行なっている三鷹市の介護事業所「NPO グレースケア」。赤ちゃんから障がいや難病のある方、高齢者など、さまざまな地域の人々の「お困りごとからお愉しみまで」を支え、安心して暮らせる街作りに貢献しています。
今回はNPO法人グレースケア機構代表の柳本文貴さんへのインタビューを通して、その活動に迫っていきます。

代表 柳本文貴さんへインタビュー

まずは、利用者ひとりひとりに寄り添ったケアを行ううえで、その根底にある思いや考えをお聞かせください。

私が20歳前後の時に、脳性麻痺の障がいのある40代の方のところで介助をしていたのです。話をしているうちに「柳本君は不自由だね」と言われたんです。「考え方や価値観が凄く縛られている。人より能力が高かったり、何でも早くできたりすることが良いといった健常者の価値観に縛られていて、非常に不自由だ」と言われて、そんなことは考えたことがなかったので、えーっと思って。いろいろとお話をしている中で、20歳過ぎまでに思っていた自分の感覚とか、大事にしていたものと全然違う世界があるということを教えてもらえました。
他にもさまざまな障がいのある方と触れ合って、人間ってこんなに色々なんだ、こんなに自由でいいんだというのを知りました。できることが制限された時に、工夫することの大切さも学びました。介護業界は慢性的な人材不足に悩まされていますが、限られた人材の中で何とか工夫したいという思いが今に繋がっているのかなと思います。

グレースケアのサイトには、働く人の働きやすさ向上に力を入れていることが書かれています。具体的にはどのように働きやすい環境を実現していますか?

年2回、全スタッフからグレースケアのよい点、改善してほしい点を集めてフィードバックする仕組みを構築しています。また、変形労働時間制を採用しており、1か月の所定の労働時間に収まれば日ごとの働く時間は自由に調整できるので、スタッフが家庭や他の活動など各々の事情に合わせて働き方を決めることが可能になっています。
三鷹市では介護福祉士などの専門資格がなくても、市が実施する3日間の研修を受け、「みたかふれあい支援員」になることで、市独自の訪問型サービスに従事できる制度があります。グレースケアでは、ふれあい支援員の方には掃除や買物のほか、ひとり親世帯のこどもの世話や、自費で認知症の方の付添いなどにも活躍いただいていて、ケアの担い手のすそ野を広げています。
また、スタッフは三鷹・武蔵野と周辺地域の方が多いので、互いに休みを取ったり、助け合いやすいことも働きやすさにつながっていると思います。

 

グレースケアでは驚くほど多くの事業を行っていらっしゃいます。多くの事業を行っている理由を教えてください。

それぞれのやりたいことをやっていたらどんどん増えていったという感じです。地域の居場所を作りたいというスタッフがいたので、民家を借りて泊まりもできるデイサービスを始めたり、掃除や整理収納が好きなヘルパーが集まって、片付けや身辺整理などを行う事業部を作ったり、旅行好きでおでかけ事業部、本好きでものがたり事業部なども始めています。
介護=介護保険ではないし、生活を幅広く支えることと考えれば、スタッフがそれぞれの好きなことや特技を活かしながら多様なお困りごとやお愉しみごとに応えられるとよいと思っています。

地域の繋がりを作るためにやっていることを教えてください。

武蔵野オフィスで定期的にガレージセールを開催しています。利用者の方からいただいた物や、片付けや身辺整理などで出てきた不用品などを置いておくと、近所の人が覗きに来て持っていってくれたり、逆にご自宅の品物を思い出話とともに置いていってくれたりします。
8月には、初の試みとして「リハビリスナック」をオープンしました。脳出血で麻痺が残った利用者さんの発案で、「リハビリ×エンタメイベント」として企画したものです。縁日を開いて遊んだり、夕方からはおつまみを食べながらお酒を飲んでお話ししたりしました。カクテルを混ぜたり、ピーナッツをつまんだり、会話やちょっとした動作も「生活リハビリ」になります。近所の方々も寄ってくれて、楽しい一日となりました。

また、牟礼にある「くまちゃんハウス」では、毎週水曜日の午前に、看護師さんとボランティアで「くまちゃん保健室」を開いています。こちらも地元のおばあちゃんや家族介護をしている人などが集まって、ヨガをしたり手仕事をしたり、健康の相談に乗ったりしています。こうしたことをきっかけに、地域に繋がりができるといいなと思います。

井の頭一丁目町会画像

これからの課題、目標をお聞かせください。

グレースケアでは居住支援にも力を入れています。三鷹にも空き家が増えているので、それをどう活用していくのか。それと同時に、住まいが借りられない単身の高齢者や障害者が増えていて、そういう人をどのようにサポートするのかというのは、身近なところで取り組みたい課題です。

また、若いスタッフが少ないので、もう少し20代、30代の人が加わってくれるようにしたいなと思っています。

あとがき

安心して暮らせる街作りに、さまざまな事業を通して貢献している「NPO グレースケア」。その現在の姿が、多くの偶然や出会いによって形作られてきたという点が印象的でした。これからも幅広い活動を通じて、安心して暮らせる三鷹市を支え続けてくれそうです。

取材協力

NPO法人グレースケア機構

 

インタビュアー

 

柳澤森     三栖直大

若者の就労をサポートする「むさしの地域若者サポートステーション(通称サポステ)」で将来を模索中のふたり。サポステを受託運営するNPO法人文化学習協同ネットワーク(三鷹市)の若者の居場所Linkにて、仲間づくり、地域づくりを意識しつつ活動中。